
"オノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac,1799年5月20日-1850年8月18日)は、フランスの小説家。
S.モームは、バルザックを「確実に天才とよぶにふさわしい人物」と自著『世界の十大小説』のなかで述べている。バルザックは90篇の長編・短編からなる小説群『人間喜劇』を執筆した。これは19世紀ロシア文学(ドストエフスキー、レフ・トルストイ)のさきがけとなった写実的小説である。"
バルザックが死んだ日。51歳だった。書いて書いて書きまくった生涯だったが、実にお金のことを詳しく書いた。彼は、人間とか人生というものはその経済的側面を精密に描くことなくしては描写し得ないと信じていたのだ。おかげで19世紀ヨーロッパの経済事情が、また当時のヨーロッパに蔓延していた俗っぽい「物欲」が、実によくわかるのである。この俗っぽい物欲こそが、文明発展の原動力であった。「みんな一緒に清く貧しく」なんて言っている社会は、文明から取り残されるのである。
『バルザック「人間喜劇」セレクション(全13巻、別冊2巻)』鹿島茂編(藤原書店)はおすすめ。特に第7巻の『金融小説名編集』がいい。高利貸し観察記、偽装倒産物語、手形偽造物語等々。巻末対談として『ナニワ金融道』の青木雄二と鹿島茂の対談までついている(この対談ちょっとかみ合っていないけど、企画としてはとても面白い)。鹿島茂による当時の貨幣価値換算表や、当時の社会ステイタスシンボルとして重要な小道具である馬車の種類の一覧整理まである。人間霞を食って生きている訳じゃないのだから、現代小説に於いてもこういうバルザック的なアプローチは重要だと思う。第一巻の『ゴリオ爺さん』も捨てがたい。
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